高齢者虐待防止のための指針

当施設は利用者の人権を守り、安全で健やかな生活を確保するため、老人福祉法、介護保険法等の趣旨を踏まえるとともに、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下「高齢者虐待防止法」と略す。)で求められている「高齢者虐待の防止マニュアル」を基に指針を定める。

1.基本方針

(1)苦情処理の徹底

施設内における高齢者虐待を防止するために、施設は、利用者及びその家族等からの苦情について、真摯に受け止め、これを速やかに解決するよう最大限の努力をする。(注1:高齢者虐待防止法第20条参照)

(2)虐待の早期発見

日々の利用者のモニタリングにより、高齢者虐待の兆候を早期に発見するよう努めると共に、兆候が現れた利用者については、速やかに虐待防止委員会を開催し、その状況について分析し、虐待の有無を検証する。(注2:高齢者虐待防止法第5条第1項参照)

(3)市町村への通報

職員は施設内外での高齢者虐待の早期発見に努め、高齢者虐待を受けたと思われる利用者を発見した場合は、速やかにこれを市町村に通報する。(注3:高齢者虐待防止法第21条第1項参照)(注4:高齢者虐待防止法第21条第6項参照)
また、この通報をなした職員に関し、そのことを理由として、解雇その他不利益な取扱いは行わない。(注5:高齢者虐待防止法第21条第7項参照)

2.虐待の定義

本指針でいう高齢者虐待とは、介護施設において、職員が意図的に利用者に対して不適切なケアをすることを言う。

3.虐待の種類

(1)身体的虐待

暴力による危害を加える行為、もしくは危害を与えかねない扱いをすること。

(2)心理社会学的、心理学的虐待

言葉の暴力、社会的孤独、愛情の欠如、利用者の生活について尊敬を持って決定に参加する機会を奪うことや、市民としての権利を拒否することを含む。

(3)経済的虐待

お金や財産の悪用が含まれる。これは、高齢者の要望、利益、ニーズに反する目的で財産を使用すること、または、詐欺が含まれる。

(4)性的虐待

高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。

(5)ネグレクト(介護・世話の放棄・放任)

高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。

4.介護施設職員の虐待行為

高齢者虐待防止法第2条第5項に掲げられている、介護施設職員の虐待行為とは以下の事態を指す。

  1. 高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
  2. 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
  3. 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
  4. 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
  5. 高齢者の財産を不当に処分することその他、当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。

5.施設長及び各部署管理者の責務

施設長及び各部署管理者は苦情処理の体制を整備するとともに、職員に対する高齢者虐待に関する研修の実施、虐待防止の各種措置を講ずる責務を負う。(注1参照)

6.高齢者虐待の防止のための職員研修に関する基本方針

職員に対する権利擁護及び高齢者虐待防止のための研修は、基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、権利擁護及び虐待防止を徹底する内容とし、以下のとおり実施する。

  1. 定期的な研修の実施(年2回以上)
  2. 新任職員への研修の実施
  3. その他必要な教育・研修の実施
  4. 実施した研修についての実施内容(研修資料)及び出席者の記録と保管

7.職員の責務

職員は日頃より利用者のモニタリングを励行し、虐待を受けたと思われる利用者を発見した場合は、速やかに、これを施設長、各部署管理者及び市町村に通報・報告する。ここでいう「思われる」というのは、確たる証拠を必要とするものではない。施設長は当施設において虐待の疑いがある事を知った時には直ちに市町村に通報・報告する。また職員は、虐待に至らないまでも、その兆候を発見したときには、速やかに施設長、各部署管理者及び市町村に報告する責務を有する。

<通報先>
新潟市福祉部介護保険課
電話:025-226-1273
FAX:025-224-5531
〒950-8550
新潟市中央区学校町通1番町602番地1
新潟市ホームページ(外部サイト)

8.虐待防止委員会の設置(設置規定は別に定める)

  1. 施設内における虐待防止を図る為、虐待防止委員会を設置する。
  2. 虐待防止委員会は定期的又はその必要があるときに随時開催する。
  3. 虐待防止委員会の委員長は施設長とする。委員は必要のある員数とし、各部署より選出されたものとする。
  4. 必要のある場合は、第三者委員を委員に加えることができる。
  5. 虐待防止委員は、日頃より虐待防止の啓発に努めなければならない。
  6. 虐待防止の担当者は、施設長とする。

9.成年後見制度の利用支援

利用者及びその家族に対して、利用可能な権利擁護事業等の情報を提供し、必要に応じて、行政機関等の関係窓口、社会福祉協議会、身元引受人等と連携のうえ、成年後見制度の利用を支援する。

10.虐待等に係る苦情解決方法

  1. 虐待等の苦情相談については、苦情受付担当者は受付内容を管理者に報告する。
  2. 苦情相談窓口で受け付けた内容は、個人情報の取扱いに留意し、相談者に不利益が生じないよう細心の注意を払って対処する。流れは「 高齢者虐待対応フローチャート」の通り。
  3. 対応の結果は相談者にも報告する。

11.利用者等に対する指針の閲覧

職員、利用者及びその家族をはじめ、外部の者に対しても、本指針をいつでも閲覧できるよう、事務室等に備え付ける。また、事業所ホームページにも公開する。

12.その他虐待防止の推進のために必要な事項

権利擁護及び高齢者虐待防止等のための内部研修のほか、外部研修にも積極的に参加し、利用者の権利擁護とサービスの質の向上を目指すよう努める。

 

附則
この指針は、令和6年4月1日より施行する。