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産婦人科のご案内

産婦人科からのお知らせ

産婦人科疾患の解説

1.主な症状

1)月経不順

無月経、月経不順、早期閉経などは、卵巣機能不全が疑われ、基礎体温測定、ホルモン検査などが行われます。

2)過多月経、過長月経、月経困難症

過多月経は凝血塊のある生理、過長月経は10日以上長引く場合、月経困難症は安静と薬物が必要な場合です。異常疾患のない場合が多いのですが、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症などが疑われます。

3)下腹部痛

月経に随伴する場合には卵巣子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢腫)、不規則な場合には感染性腹膜炎(クラミジア卵巣・卵管炎)、膀胱炎、卵巣腫瘍、卵管腫瘍などが疑われます。

4)帯下(たいげ:おりもの)

通常は排卵日の頃には粘液性帯下が多くなります。白い帯下では、トリコモナス、カンジダなどの感染が疑われます。赤い出血では、性交後出血、ポリープなどの他に、子宮頸がんや子宮体がんも心配されます。

2.主な良性疾患

1)子宮筋腫

女性に最も多い良性腫瘍。筋肉の塊り(筋腫)の増大で多発性に発生することが多いです。
症状:過多月経(凝血塊の排出、貧血)、下腹痛(月経困難症)
診断:経膣/経腹超音波断層、MRI

治療

治療方針は、妊娠希望の有無と症状の有無により分別されます。女性ホルモンの影響で増大し、閉経を迎えるまで、自然に縮小することはありません。

  1. 経過観察:鎮痛剤
  2. 薬物療法
    過多月経に女性ホルモン治療は有効です。
    1. 低用量エストロゲン・プロゲスチン:.ルナベル配合錠(21日間)、ヤーズ配合錠(28日間)
    2. 子宮内ホルモン含有器具:ミレーナ、プロゲスチン含有、5年間有効、非保険
    3. 閉経間際に閉経薬剤:GnRHアゴニスト:リュープリン、ナサニール、ゾラデックス
      ホルモン値(FSH)が高い場合には6か月間投与で自然閉経が期待できる。
2)子宮腺筋症

子宮内膜症が子宮筋層に発生したもの。
症状:過多月経(凝血塊の排出、貧血)、下腹痛(月経困難症)
診断:経腟/経腹超音波断層、MRI

治療
  1. 経過観察:鎮痛剤
  2. 薬物療法
    GnRHアゴニスト:リュープリン、ナサニール、ゾラデックス
    女性ホルモン:低用量エストロゲン・プロゲスチン:.ルナベル配合錠(21日間)、ヤーズ配合錠(28日間)
    プロゲスチン:ディノゲスト
  3. 手術療法
    病巣除去手術(:現在保険適応はありません)
    子宮摘出
3)卵巣子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢腫)

卵巣卵巣チョコレート嚢腫は、子宮内膜症による良性疾患です。悪性卵巣腫瘍との鑑別が必要です。破裂や感染を伴う場合には、急性腹症を呈することになります。
症状:下腹痛(月経困難症)、過多月経(凝血塊の排出、貧血)、
診断:超音波断層(経腟、/経腹)、MRI

治療

卵巣がんの発生に関与している可能性があり、40歳代〜50歳代以降では注意が必要です。

  1. 経過観察:鎮痛剤
  2. 薬物療法女性ホルモン:縮小効果を示すが、消失させることは困難。
    GnRHアゴニスト:リュープリン、ナサニール、ゾラデックス
    低用量エストロゲン・プロゲスチン:.ルナベル配合錠(21日間)、ヤーズ配合錠(28日間)
    フロゲスチン:ディノゲスト
  3. 手術療法
    腹腔鏡下手術、開腹手術病巣除去手術
    1. 嚢腫摘出
    2. 卵巣腫瘍を含めた卵巣摘出:再発を予防する
    3. 嚢腫 壁焼灼、エタノール固定、吸引洗浄:卵巣機能温存を期待、再発の可能性があります。
4)良性卵巣腫瘍

自覚症状や、内診、超音波断層法などの診察で卵巣の腫大が認められる場合。
機能性卵巣腫瘍では自然消失もあり、腫瘍が増大すれば悪性を考慮する必要があります。
診断:超音波断層法(経腟、経腹)、造影MRI、血液腫瘍マーカー

治療

画像で悪性所見が見られない場合や、小さい場合には経過観察となりますが、1か月後、3か月後に超音波診断で観察を続けます。増大傾向や悪性変化が疑われれば手術療法となります。最終的には、摘出物の病理診断で良悪性の診断となりますので、経過観察のみでは限界があります。

  1. 腹腔鏡下手術:内視鏡下の低侵襲手術で、入院期間は短く回復も早いです。
    ほぼ良性と判断された場合に行われます。全身麻酔で、臍下、下腹部に3から4ヶ所に小切開を加えて行い、術後4日目に退院します。平成13年7月から平成24年12月までに新潟県立がんセンター新潟病院での手術数は474例で、開腹に変更となったのは高度癒着子宮内膜症、悪性腫瘍(卵卵巣癌や管癌発見)などの32例です。悪性腫瘍は9例、境界悪性腫瘍は4例の13例(2.7%)です。
  2. 開腹手術:手術歴があり癒着が予想される場合や悪性の可能性がある場合です。

3.悪性疾患

子宮がんは、「がん」が発生する部位より「子宮頸部がん」と「子宮体部がん」とに区別され、両者は好発年齢、発生原因、臨床症状、組織像や治療内容が異なるため区別して取り扱う疾患となっています。
若年・成熟期には「子宮頸がん」、閉経以降では「子宮体がん」が多くなります。

1)子宮頸部がん(頸がん)
(1)発生原因

現在は、性交渉によりヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus:HPV)の感染が引き金にとなるとされています。そのウイルスの遺伝子型(タイプ)は100以上あり、子宮頸がんに関連しているのは(高危険群)16型、18型、31型、33型、35型、45型、52型、58型の8タイプと考えられています。子宮頸部腫瘍(異形成、上皮内癌、浸潤癌)では、ほぼ全員がHPVに感染していると考えられていますが、感染しても全員が発癌するのではなく、免疫状態の低下などによってもたらされることが指摘されています。

(2)年齢

このHPV感染は、性行為によって引き起こされ、初交年齢が早い場合や、複数・多数の男性との性交渉により「がん」になる危険性が高くなるとされています。このため、最近では若年者(20歳代から)で発見される人が増加しています。

(3)症状

初期がんでは「無症状」ですが、病気が進行するに従って「性交後出血」、「不正出血」、「持続的出血」、「多量出血」となります。

(4)進行期

子宮頸癌は、異形成上皮(軽度→中等度→高度)→上皮内癌→浸潤癌と進行していくことが知られています。

  1. 異形成上皮
    異形成病変からの消失と進行については (岩坂)、軽度異形成では進展8.9%、持続43.3%、退縮47.5%ですが、中等度異形成では進展22.7%、持続40.9%、退縮36.4%で癌化への頻度が高くなり、高度異形成は進展40.0%、持続46.7%、退縮13.3%で更に癌化への頻度が高くなり、そして、円錐切除などの治療により多数標本を作製して観察すると上皮内癌が発見される場合があります。このため、高度異形成の段階になれば、ループ電極切除あるいは円錐切除術で病理組織を確認することを推奨します。
  2. 0期(上皮内癌)
    この段階では、「がん」がまだ皮下組織に浸潤が始まっていないため、転移はなく初期癌とされています。妊娠中に上皮内癌と診断された場合には、分娩が終了した後に病変を確認してループ電極切除あるいは円錐切除術を行っています。
  3. 浸潤癌
    Ⅰ期:子宮頸部に限局
    ⅠA1期:深さ3 mm、縦 7 mm:微小浸潤癌で、血管内侵襲がなければ子宮温存手術が可能
    ⅠA2期:深さ5 mm、縦 7 mm:子宮を残すことは困難で、広汎子宮全摘、あるいは放射線療法が適応となります。挙児希望では広汎頸部切除術の選択もあります。
    ⅠB1期,IB2期:広汎子宮全摘術、放射線療法
    ⅠB1期で挙児希望では広汎頸部切除術の選択もあります
    Ⅱ期:子宮外へ、骨盤内にとどまる:広汎子宮全摘術、放射線療法、化学療法
    Ⅲ期:骨盤壁に及ぶ、腟下1/3に及ぶ:放射線療法、化学療法
    Ⅳ期:骨盤外へ転移、膀胱/直腸に浸潤:放射線療法、化学療法
(5)診断
  1. 細胞診:子宮頸部で、「がん」の好発部位より直接細胞を擦過して行う方法です。
    a)細胞採取:子宮頚部より直接細胞を採取します
    b)細胞診断:ベセスダ2001を採用しています。
    1. 陰性(NILM):正常
    2. ASC-US,-H:異形成疑い、高度病変疑い.#1
    3. LSIL:HPV感染、軽度異形成
    4. HSIL:中等度異形成、高度異形成、上皮内癌
    5. AGC:腺異形成#2
    6. AIS:上皮内腺癌
    7. 悪性:浸潤癌(SCC,AC従来のX)
    【解説】
    扁平上皮細胞
    異型扁平上皮細胞(ASC:atypical squamous cells)#1
    • 意義不明な異型扁平上皮細胞(ASC−US:atypical squamous cells of undetermined significance)
    • HSILを除外できない異型扁平上皮細胞(ASC−H: atypical squamous cells,cannot exclude HSIL)
    軽度上皮内病変(LSIL: low grade squamous intraepithetial lesion)
    高度扁平上皮内病変(HSIL: high grade squamous intraepithelial lesion)
    扁平上皮癌(SCC:squamous cell carcinoma:)
    腺細胞
    異型腺細胞(腺異形成)( AGC:atypical glandular cells)
    上皮内腺癌( AIS:adenocarcinoma in situ)
    腺癌(AC:adenocarcinama)
  2. ウイルス検査: HPV(human papillomavirus(高リスク遺伝子型13種類)
    • 子宮頸がん検診でASC-US( 軽度病変疑い )と判定された場合に検査となります
    • 検査法は、診察台で子宮頸部から細胞採取して行います。
    • ASC-US( 軽度病変疑い)と判定されても、子宮頸がんの原因であるHPVの遺伝子型が高リスクク型でなければ、将来に癌化する確率は低いです。
    • ASC-US( 軽度病変疑い )の約半数の方は陰性となり、1年後の再検査でよいです。
    • 高リスク型HPVが陽性では、コルポ診と組織検査が必要です。
    • HPV検査を希望されない方は、6か月以内の細胞診検査を再度受けてください。
  3. コルポ診(拡大鏡観察):8〜20倍の拡大
    初期がんは肉眼では診断できないので、必ずコルポ診で組織診が行われます。専門的な検査法です。
  4. 組織診
    最終的な診断法で、コルポ診で病変より採取し治療方針が決まります。
(6)治療

手術療法、放射線療法、化学療法が中心となります。

  1. 手術療法
    a)ループ電極切徐
    ループ状の電極で病変を切除する方法で、高度異形成、上皮内癌が適応となり、局所麻酔で行い、子宮は温存されます。病変が狭い場合が適応で、将来に妊娠・出産を希望される人には適応となり、術後の妊娠経過も良好です。(日帰り手術で行っています)
    b)レーザ−蒸散
    レーザーで病変組織を気化・蒸散し消失する方法です。診断のための組織検査ができないため、当科では行っていません。
    c)子宮頸部円錐切徐:レ−ザ−
    子宮頸部を円錐状に切除する方法で、高度異形成、上皮内癌で病変が広い場合や、Ⅰa1期の初期がんで子宮温存を希望される場合に適応となります。
    局所再発が約3%ありますが、定期検診で早期に発見されれば再度円錐切除手術が実施され経過良好です。
    d)子宮摘出
    1. 単純子宮全摘
      上皮内癌で病変が頸管内の奥にある場合(高齢者に多い)や子宮筋腫合併、浸潤癌(Ta1期)などに適応となります。
    2. 準広汎子宮全摘
      病変の広い浸潤癌(ⅠA1期)が適応となります。
    3. 広汎子宮全摘
      子宮傍組織を含めて広汎に摘出し、併せて卵巣・卵管(若年者や組織型によっては温存)、骨盤リンパ節郭清を行います。出血量が多くなる場合には予め自己血貯血も行います。術後に発生する下肢のリンパ浮腫に対しての予防と対策、改善の指導も行っています。
  2. 放射線治療
    全身状態(年齢、進行期、合併症)などを考慮して放射線療法を行います。初期がんでは、腟内からの照射のみで行われ、外来通院でも治療です。一般的には、骨盤内照射が併用されます。
  3. 抗がん化学療法
    単独で行われることは少なく、手術療法や放射線療法に併用して行われます。
(7)子宮頸がんで「早期」に「後遺症が少なく」治るには
  1. 定期的に子宮がん検診を受診する
  2. 専門医による精密検診を受ける
  3. 自分の希望する治療法を選択する
  4. 初期がんでは治療法の選択肢が多い
  5. 治療後の定期的な検診
2)子宮体部がん
(1)特徴
  1. 50歳以降の閉経後に多く、近年では増加傾向あり
  2. 腺癌が多い
  3. 危険因子:未産・不妊、月経異常、肥満、乳癌の既往
(2)症状

不正性器出血::閉経後(1年以上月経がない場合)や、閉経周辺時期の不正性器出血が特徴です。

(3)進行期

子宮体癌は、子宮内膜増殖症を介して発生する場合(若年者)と、直接にその場で「がん化」する場合(閉経後)が知られています。

  1. 子宮内膜増殖症
    子宮内膜腺の増殖を示し、頻度は少ないものの将来子宮体癌に進行することがあります。
  2. 異型内膜増殖症(上皮内癌)
    粘膜下組織に浸潤が始まっていない腺癌で、この段階では転移はなく初期癌とされます。
  3. 浸潤癌
    Ⅰ期:子宮体部に限局:単純子宮全摘出術(+化学療法)
    ⅠA期:筋層浸潤が1/2以下である場合
    ⅠB期:筋層浸潤が1/2を越えている場合
    Ⅱ期:子宮頸部へ浸潤
    Ⅲ期:子宮外へ及ぶが骨盤内にとどまる。またはリンパ節転移。
    ⅢA:卵管・卵巣(附属器)、
    ⅢB:腟転移
    ⅢC:骨盤壁、リンパ節転移
    Ⅳ期:骨盤外へ転移、膀胱/直腸へ浸潤:放射線療法、化学療法
(4)診断
  1. 細胞診:子宮体部に細い管を挿入して細胞を採取する方法です。
    a)採取法:擦過法、吸引法
    b)細胞診断:クラス分類
    1. 陰性:正常
    2. 疑陽性:内膜増殖症
    3. 陽性:「がん」の疑い
      子宮頸部の細胞診診断と比較し、初期病変の診断が困難な場合があります。
  2. 子宮鏡
    子宮頸部より内視鏡を挿入して、子宮内部を直接観察します。外来で検査可能です。
  3. 組織診
    最終的な診断法で、子宮内部より直接組織を採取して診断します。
(5)治療

手術療法が原則で、放射線療法、化学療法が術後に追加される場合があります。

  1. 手術療法
    a)単純子宮全摘術、両側附属器摘出術、骨盤内/傍大動脈リンパ節郭清術
    病変が子宮体部に限局した場合に行います。浸潤が浅い場合や組織像によっては附属器(卵巣、卵管)の温存が可能な場合があります。
    b)広汎子宮全摘術、両側附属器摘出術、骨盤内/傍大動脈リンパ節郭清術
    病変が子宮頸部に浸潤が深く及んだ場合で、子宮傍組織を含めて広汎に摘出し、併せて卵巣・卵管、骨盤内リンパ節郭清を行います。
  2. 放射線治療
    摘出病理組織を考慮して放射線療法を行っています。
  3. 抗がん化学療法
    単独で行われることは少なく、手術療法や放射線療法に併用して行われます。
(6)妊娠を希望される場合

若年者で、妊娠・出産を強く希望される場合には、高単位の黄体ホルモン治療があります。
適応となる条件があり、

  1. 高分化型内膜腺癌、
  2. MRI検査で極めて浅い浸潤であること、
  3. 6ヶ月間の内服治療で病変が奏効し、改善・消失する、

ことなどです。高単位黄体ホルモン療法に効果がない場合には子宮摘出とならざるをえません。

3)卵巣がん
(1)特徴
  1. 卵巣は下腹部の骨盤内に存在し、腫瘤が大きくな.るか、病気が進行するまで症状がでにくい。
  2. 40歳以降に急激に増加しますが、幼少時期から発生する場合もあります。
  3. 開腹手術により卵巣腫瘍を摘出して、病理組織標本を作製して最終診断となります。術前には、「がん」と診断できにくい場合があり、開腹手術ではじめて「悪性」と診断がつく場合があります。
  4. 危険因子:未産・不妊、月経異常、肥満、乳癌の既往
(2)症状
  1. 無症状:子宮がん癌検診や妊娠の診察時などに偶然に発見されることがあります。
  2. 腹部腫瘤感、腹部膨満感:腫瘤が急激に増大して下腹部を圧迫する場合です。また、腹水が貯まった場合にも同様な症状がみられます。
  3. 腹痛:腫瘤が捻れを起こした場合には、下腹部に突然激痛を感じます。
(3)進行期
Ⅰ期:卵巣に限局
ⅠA期:一側の卵巣に限局している場合
ⅠB期:両側の卵巣に発生した場合
ⅠC期:被膜破綻、腹水細胞診あるいは洗浄細胞診で腫瘍細胞が認められる場合
Ⅱ期:子宮外へ及び、骨盤内に限局
Ⅲ期:腹腔内に限局/卵巣・卵管/リンパ節転移
Ⅳ期:全身に及んだ場合
(4)診断
  1. 内診
    婦人科診察で卵巣の腫大を触知しますが、5cm以上にならないと判断が困難な場合があります。
  2. 超音波診断法
    a)経腟法
    正常の卵巣がとらえられ、腫瘤が小さくても診断が可能です。
    腫瘍径5cm以上で増大傾向がある場合、またはそれ以下でも画像が混在型で悪性が疑われる場合には手術の適応と考えています。婦人科診察台で行われます。
    b)経腹法
    腹部より観察しますが、小さな腫瘍では詳細に観察が困難な場合があります。
  3. 血液腫瘍マ−カ−
    悪性では、血液で腫瘍マ−カ−(CEA,CA125,AFP,hCGなど)値が上昇します。初期のT期では約50%しか陽性にならないため、その診断には限界があります。
  4. 組織診断
    開腹手術で摘出した卵巣腫瘍の組織診断で、最終診断となります。
    術中に肉眼的に良性か悪性の判断が困難な場合には迅速病理診断を行います
    a)境界悪性腫瘍
    腫瘍の増殖性変化を示すが、可能性は少ないものの将来再発のある疾患です。
    b)悪性腫瘍
    卵巣の組織像は、多彩であり、組織診断が困難な場合があります。
(5)治療

手術療法と化学療法の併用が中心となります。

  1. 手術療法
    子宮全摘術、両側附属器摘出術(卵巣・卵管)、骨盤内/傍大動脈リンパ節郭清術、大網切除術
  2. 抗がん化学療法
    単独で行われることは少なく、手術療法に併用して行われます。
    卵巣がんは、多彩な組織型を示し、抗がん剤の内容は組織型によって選択されます。
  3. 妊娠を希望される場合
    若年者に発生して、妊娠・出産を強く希望される場合には、子宮と健側卵巣を温存できる場合があります。適応となる条件があり、
    1. 一側卵巣の病変、
    2. 細胞診(腹腔/腹水)が陰性、
    3. 癒着がない、
    4. 高分化型腺癌(明細胞癌等でないこと)
    などの条件を満たしていることです。また、迅速病理診断が行える病院であることも大切な条件です。

4.リンパ浮腫

婦人科手術でリンパ節郭清された場合や、術後に放射線療法が追加された場合に下肢に浮腫が発生する場合があります。また、乳がんでも、術後に上肢にリンパ浮腫が発生する場合があります。

1)浮腫の程度

下肢リンパ浮腫の臨床的進行期分類

Ⅰ期:自然に回復可能
圧迫で窪みができる段階、起床時にはほぼ正常な太さにもどる。
Ⅱ期:自然には回復不可能
スポンジ様の抵抗、圧迫で窪みができるが、もとの太さにもどらない。患部の硬化と太さが増大
Ⅲ期(リンパ性象皮症):回復不能
患部は非常に太く、組織は線維性、抵抗性である。本人は縮小手術をしたいと考える。放置すれば益々腫大し悪化する。感染の温床となり、炎症を合併する

2)浮腫の予防

下肢リンパ浮腫の予防18ヶ条(National LymphedemaNetwork(NLN)

  1. 足指、足、足首、下肢、腹部、外陰部に腫脹を気づいたら、すぐに医師と相談する。
  2. 患側の足には決して注射・点滴をしない(「注意」のブレスレットをする)。
  3. 浮腫/患側部を清潔に保つ。入浴後はローションを使い、優しく徹底的に皺指の間も乾燥させる。
  4. 患側の足では、力の入った、繰り返す動きを避ける。
  5. きつい弾性バンドのついた靴下、ストッキング、下着はしない。
  6. 入浴、日光浴では極端な温度変化を避ける。サウナも避ける。下肢を日にさらさない。
  7. 外傷を避ける:打撲、損傷、日焼や火傷、スポーツ外傷、虫刺され、引掻傷)など。感染の徴候に注意する。
  8. マニキュアは、あま皮を切るのを避ける。
  9. 医師に相談して適当な運動をする。患側の疲労を避け、痛ければ横になり高くする。歩行、水泳、軽いエアロビクス、自転車、適当なバレエやヨガなどの運動が推奨される。
  10. 飛行機旅行では、適当な圧迫ストッキングを身につける。長時間飛行では、浮腫の足には弾性帯を着用する。
    水分摂取を増やす。
  11. 足の脱毛は「電気かみそり」を使う。適宜かみそりの刃を交換する。
  12. 下肢に浮腫があれば、歩行時には必ず適当な圧迫ストッキングを身につける。ストッキングが緩いと圧迫が緩く、役立にたたない。
  13. 湿疹、掻痒、疼痛、発熱があれば直ちに医師に相談する。患側の浮腫に炎症(感染)が始まったか悪化の徴候である。
  14. バランスのよい低塩分、繊維食品を摂り理想体重を維持する。喫煙、アルコールを避ける。浮腫は高蛋白組織だが、低蛋白食では改善せず結合織を弱め、悪化させる。食事は、簡単な蛋白質(チキン、魚、豆腐)が望ましい。
  15. 常にぴったりと合う靴を履く。ハイトップや深靴が推奨される。サンダル、スリッパ、裸足はよくない。水泳後は足を注意深く乾燥させる。
  16. 足の病気に詳しい医師に年に一度は診察を受ける。真菌症、爪の食いこみ、皮膚の硬結「たこ」、圧迫部、水虫のチェックと治療。
  17. ソックスや靴下は常に清潔に。
  18. 大汗をかいたら、タルカムパウダ−(滑石粉に硼酸末・香料などを加えたもの:汗止め)を使用する。タルクは、圧迫ストッキングを急いではくのに役立つ。ストツキングを急いではく場合にはゴム手袋をする。膝裏に粉をつければ、摩擦やかぶれを防ぐ。
3)浮腫の治療

当科では、腫大した患肢の状態を把握して、複合的理学療法を中心に治療を行っています。「友の会」による相談の機会もあります。

  1. 治療の原則
    1. 先ず腫大した患肢のリンパ浮腫の軽減に努め、次いでその細さを維持する。
    2. 肥満があれば、体重の減少を図る
    3. 蜂窩織炎では入院治療も必要
  2. 複合的理学療法
    1. スキンケア(皮膚の手入れ):感染を防ぐため
    2. マッサ−ジによるリンパドレナ−ジ(リンパ誘導マッサージ):リンパ管内の流れをよくするため
    3. 弾性包帯による圧迫療法(バンデ−ジ、スリーブ):マッサージ後の弾力包帯などによる
    4. 弾性包帯圧迫のままで運動療法(浮腫緩和のための治療的運動)

患者会「ひまわり会」:問い合わせは新潟県立がんセンター新潟病院の医療相談室、婦人科外来

4.婦人科がん検診

現在行われている婦人科のがん検診は、市町村が実施する子宮がん検診が一般的です。

1)子宮頸がん検診

子宮がん検診では、この検診が中心で、細胞診と診察(内診)が行われます。
細胞診断が(1)ASC-USではHPV検査、(2)LSIL,HSIL,ASC-H,悪性と診断された場合は、二次検診(要精検)となり施設にてコルポ診で病変の精密検査が行われます。

2)子宮体がん検診

閉経後の不正出血、閉経周辺期の不規則な出血があれば、頸がん検診と同時に実施されます。しかし、車検診の場合には、体がん検診は診療施設にて実施されます。細胞診断がクラス疑陽性、陽性とされた場合は、二次検診(要精検)となり施設にて子宮内病理組織検査が実施されます。

3)卵巣がん検診

子宮がん検診時に内診が行われた場合で、腫瘍が大きな場合には診断が可能です。しかし、小さい初期の癌を内診のみで診断するのは困難です。
卵巣がん検診を希望される場合には、診療施設にて経腟超音波診断を受けることになります。

5.HPVワクチン(サーバリックス)

当院ではHPVワクチンの投与が受けられます。

1)対象者
  1. 第一の接種対象
    11〜14歳の女児
  2. 第二の接種対象
    15歳〜45歳まで
2) 子宮頸がん予防ワクチンの接種法
  1. 接種量1回の接種量は0.5mL
  2. 接種部位:上腕の三角筋部に筋肉内接種
  3. 回数合計3回接種
    2回目は、初回接種後1カ月後、3回目は、6カ月後
  4. 注意事項
    1. 10歳未満女児へのワクチン接種は認可されていません。
    2. 発熱者、重篤な急性疾患患者、過敏症を呈したことがある者、などについては接種を行いません。
    3. ワクチン接種後の副反応
      1. 局所症状は、痔痛99.0%、発赤88.2%、腫脹78.8%で、軽度から中等度で、大半は数日で回復しています。
      2. 全身性の副反応は、疲労57.7%、筋肉痛45.3%、頭痛37.9%、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛等)24.7%、関節痛20.3%、発疹5.6%、毒麻疹2.6%で、全身性症状も接種回数の増加に伴う発現率の上昇は見られていません。
3)費用

1回15,580円(健康診断料2,790円+ワクチン料12,790円)、3回で合計46,740円

4)定期的な子宮頸がん検診受診が必要
子宮頸がんは予防できます

ワクチン接種の女性でも、HPV16型および18型以外の発がん性HPVに感染する可能性が約30%あります。

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